既存システムをもとに、デジタルをより一層活用した効率的な経営を実現することが出来れば、企業は追加投資を行うことなく業績を改善することが出来る。そして優れた経営者達の活用方法をみて思想を読み解いていけば、企業のデジタル化度合いによって程度の差こそあれ、それは実現可能である。スマートフォンやパソコンは日常生活の至る所で活用されている。デジタル情報の形にすれば素早くメッセージを伝えることが出来るし、デジタル情報のコピーや共有は正確である。後から見返そうとする時にも、多くの場合デジタル情報は紙データよりも早く正確に呼び出すことが出来る。要するに情報をデジタル化すると便利なのだ。日常的な感覚にしたがって、情報のやり取りの大部分をデジタルベースにすることをデジタル化であるとすると、我々の日常生活は既にデジタル化されている。「日常生活デジタル化の思想」というものがあるとするならば、それは一般常識の中へ既に組み込まれている。総務省によれば2018年時点でスマートフォンは日本の64.8%の人に普及しているし、インターネット利用率は79.8%だ(令和元年版 情報通信白書。個人ベースで集計)。スマートフォンでは、無料ないし安価で様々なアプリケーションを入手して利用できる。電子メールは無料で利用でき、ファイルを添付してデータをやり取りできる。LineやTeamsなどのアプリケーションでは写真や文書のファイルをグループで共有し、保存しておくことも出来る。Teamsではビデオ通話や資料を投影して共有することも無料プランに含まれている(有料にしないと共有可能なファイルの容量は限られる)。連絡ばかりでなく、計算や写真撮影、写真の加工、録音などの作業も可能で、無料でインターネットを検索すれば多くの統計情報を収集できる。スマートフォンを通してつながれるインターネット上には、無料で簡単なホームページやブログを立ち上げるサービスも豊富に存在しているから、趣味の紹介や双方向のやり取りが可能なホームページを立ち上げておくことで、世の中とつながることも出来る。Twitterなどのソーシャルネットワークサービスでアカウントを作れば世の中に対して積極的な発信を行うことも可能、Amazonや楽天、メルカリといったプラットフォームに商品を出して広く顧客に見てもらうことも可能だ。・・・このような社会の現状に考えを巡らせたとき、企業や個人の経営デジタル化におけるボトルネックは、「システムの導入に必要なお金がない」ということよりも「どうデジタル化すれば良いのか分からない」ということが多いのではないかと思えてくる。大量のデータをリアルタイムで処理するなど高性能の機能は確かに有料かもしれないが、今既にあるインフラを元にすれば、多くの経営デジタル化を無料で実現できると思う。